「ぴーひょろひょろ」
遠くからトンビの鳴き声が聞こえてくる。
何とも情けない声だ。
だってそうだろ?
鷹の仲間で、勇猛果敢な出で立ち。
肝心の鳴き声は「ぴーひょろひょろ」?
この差はあまりにも大きい。
ピーシャラピーシャラ踊ってるのか?
そんな、情けない音をにしないでもらいたいものだ。
どおれ、
ここは私が
お前たちに新しい鳴き声を与えてやろうではないか。
「ぴんよろー」
――これも違うな。なんかチャラい。
なんというか、ウェーイと騒ぎ立てる軽さがある。
あの重量感のありあそうな雰囲気にそぐわない。
じゃあ
「ぴんひょろ」
――いやいやいやいや、
「ぴーひょろひょろ」とちがった、
悲しさを前面に出したような
そんな鳴き声に聞こえるじゃないか。
「ぴ」がだめなのか?
そうなのか?
そうと決まれば、よし……
「ひーひょろひょろ」
――うん、「ぴ」は悪いわけではない。
偏見で被害を被ってしまったな。
すまない……
「ひ」よりも、「ぴ」の方がまだマシだって。
――「きーひょろひょろ」
……ないな。
いやまてよ?
――「キンヨロー」
これならどうだ。
キンとした眼光に颯爽と現れそうな雰囲気。
「ひょろ」よりも「よろー」の方がしまりがありそうだ。
そう思うと。
「キンヨロー」
――悪くない。
よおし、トンビよ。
君たちの鳴き声は、
今から「ぴーひょろひょろ」ではなく、
「キンヨロー」だ!
これからも格好よくあってくれたまえ。