「感性を育てるミニマリズム」― 余白をつくることで感性が豊かにな人になる

ミニマリズムと聞くと、「物を減らすこと」「シンプルな部屋に住むこと」 というイメージが一般的ですが、本質はそこではありません。ミニマリズムは、「何を選び、何を捨てるか」 を通じて、 「自分の感性を研ぎ澄ます」 生き方なのです。

しかし、私たちは日々膨大な情報にさらされることで、『よい』と感じる基準が、いつの間にか他者の価値観に影響されていることがあります。

例えば、子どものころに河原で見つけた石や、海岸で拾った貝殻を『宝物』のように感じたことはありませんか?

しかし、大人になるにつれ、『これは価値がある』『これは流行っている』といった外部の情報に影響され、自分の本当の感性を見失ってしまうことがあります。

では、どうすれば 「本当に心が満たされるもの」を選べるようになるのか?

今回は、ミニマリスト的視点で感性を磨くために、意識したい3つの習慣を詳しく解説します。

目次

習慣① 情報や他人の価値観と距離を取る

現代は、SNSやニュース、広告など、あらゆる情報が『あなたの関心を引くために』設計された時代です。

「今話題の○○」「今年のトレンド」「みんなが買っている」―― これらの言葉を聞くと、
つい 「自分もそれが必要なのでは?」 と錯覚してしまいます。

このように、情報は 「自分が本当に欲しいものではなく、他人が決めた価値観」 を押し付けてくることが多いのです。

「情報や他人の価値観と距離を取る」と言っても、具体的にどうすればいいのか?
ただ『SNSを見る時間を減らす』『流行を追わない』と頭で考えるだけでは、実践が難しいものです。
ここでは、ミニマリストが日々意識している「情報との適切な距離の取り方」を、具体的な方法とステップ で深掘りしていきます。

① 情報を「受動的」に受け取らないクセをつける

✔ 情報を自分で選び取る力をつける
現代は、スマホを開けばニュース、SNS、広告が絶え間なく流れてくる時代。
しかし、それらの情報の多くは「あなたに考えさせることなく、消費させる」ために作られています。

実践法

  • プッシュ通知をオフにする
    • スマホの通知は、意識しなくても目に入る仕組み。必要な情報は自分から取りにいく姿勢を持つ。
  • 「SNSを開く時間」を決める
    • 1日○回、○分だけチェックするルールを決める(例:朝と夜の10分だけ)。
  • SNSのフォローを整理する
    • 「本当に価値のある情報をくれる人」だけをフォローし、それ以外はミュートorフォロー解除。
  • ニュースアプリを整理し、本当に必要なものだけに絞る
    • 必要なニュースは新聞や公式サイトで自分から取りにいく。

「流れてくる情報」ではなく、「自分が求めた情報」にアクセスする習慣をつける。

② 「今すぐ知るべき情報」と「知る必要のない情報」を区別する

✔ 知るべき情報と不要な情報を明確にする
世の中のニュースや流行がすべて必要なわけではありません。
ミニマリストは、情報を「本当に必要なもの」だけに厳選しています。

実践法

  • 「今すぐ知る必要がある?」と自問する
    • 情報を目にしたとき、「これを知らないと困るのか?」を考える。
  • 自分の生活に直接関係する情報だけを収集する
    • 例えば、仕事や趣味、暮らしに役立つ情報にフォーカスする。
  • ニュースを『必要な情報』と『今は不要な情報』に分ける
    • 天気や防災情報、仕事に関するニュースは必要だが、「芸能ゴシップ」「炎上騒動」「トレンドニュース」はなくても困らない。

情報を選び取ることで、本当に必要な情報だけが入ってくるようになる。

③ 情報を「消費」ではなく「活用」する習慣を持つ

✔ 受け取った情報をそのまま流さない
情報をただ眺めるだけでは、時間を無駄に消費するだけ。
ミニマリストは、「得た情報をどのように活かすか?」を意識して行動しています。

実践法

  • 「この情報が自分の生活にどのように役立つか?』を考える
    • 例えば、新しい知識を得たら『日常生活でどのように活かせるか?』を意識する。
  • インプットしたらアウトプットする
    • 読んだ記事や本の内容を、手帳にメモする・人に話すことで定着させる。
  • 『知識として蓄える情報』と『娯楽として楽しむ情報』を分ける
    • 仕事やスキルアップのための情報と、娯楽として楽しむ情報を意識的に区別する。

情報をただ受け取るのではなく、「活かす情報」だけを残す。

④ 「人との距離感」をコントロールする

人間関係においても、自分にとって心地よい距離を見つける
ミニマリズムは「物」だけではなく、「人間関係」や「情報」との距離の取り方にも適用できる。

実践法

  • 『この人の考えに流されすぎていないか?』を意識する
    • SNSでの発言や周囲の人の意見に左右されず、「自分はどう思うか?」を常に考える。
  • 「ネガティブな影響を与える人」との距離を取る
    • 批判的な人、不機嫌な人、愚痴が多い人とは意識的に距離を置く。
  • 「この人と話すことで自分が満たされるか?」を基準にする
    • 一緒にいて前向きな気持ちになれる人と関わる時間を増やす。

人間関係も「選び取る」ことで、心の余白をつくることができる。

⑤ 「情報の断捨離」を定期的に行う

✔ 生活の中で余計な情報が増えていないか見直す
スマホやSNSだけでなく、普段目にするものすべてに対して「情報整理」をすることが重要です。

実践法

  • スマホのホーム画面をシンプルにする
    • 不要なアプリや通知を整理し、必要なものだけにする。
  • フォロー・購読リストを見直す
    • SNSのフォロー、メルマガ、サブスクの整理をする(本当に必要なものだけにする)。
  • 月に1度、SNSやニュースから完全に離れる日を作る
    • SNSやニュースから完全に離れる日を作り、自分の思考をリセットする。

情報が増えすぎないように、定期的な整理を習慣にする。

まとめ:ミニマリストが実践する「距離の取り方」
  1. 情報を「受動的」に受け取らないクセをつける
    • 流れてくる情報を遮断し、自分で選び取る姿勢を持つ。
  2. 「今すぐ知るべき情報」と「知る必要のない情報」を区別する
    • 必要な情報だけを選び、無駄な情報はカットする。
  3. 情報を受け取るだけで終わらせず、実際に行動に移す習慣を持つ
    • 受け取った情報をどう活かせるかを考える。
  4. 「人との距離感」をコントロールする
    • ネガティブな影響を与える人と距離を取り、心地よい人間関係を築く。
  5. 「情報の断捨離」を定期的に行う
    • 情報が増えすぎないように、スマホやSNS、メルマガを整理する。

習慣② 言葉にすることで、本当の自分が見える

「あなたは何が好きですか?」と聞かれて、即答できますか?

「うーん…何だろう?」と、すぐに言葉にできないことは意外と多いものです。
私たちは、自分の好きなものや価値観をなんとなく理解しているつもりでも、いざ言葉にしようとすると曖昧になることが多い のです。

しかし、「何が好きか」「何が心地よいか」を言葉にすることは、自分の本質を知るための第一歩 になります。
ミニマリストが実践する「言葉にする習慣」は、自分の価値観を明確にし、本当に大切なものを選び取る力を養うために不可欠です。

では、具体的にどうすればよいのでしょうか?
ここでは、ミニマリストが実践する「言葉にすることで本当の自分が見えてくる」方法を詳しく掘り下げていきます。

言葉にすることで「好き」が明確になる

私たちは、無意識のうちに好きなものを選んでいますが、「なぜそれが好きなのか?」 を説明できる人は意外と少ないものです。

例えば、「シンプルなインテリアが好き」と思っていても、以下のように理由はさまざまです。

  • 「色が統一されていて落ち着くから好き」
  • 「余計なものがないと頭がスッキリするから好き」
  • 「物が少ないことで、日々の掃除が楽になるから好き」

こうして「好き」の理由を言葉にすることで、「自分が本当に求めているもの」 が明確になります。

ミニマリストが実践する「好き」を言語化する習慣

✅実践法

  • 好きなものをノートに書き出す
    • 例えば、「好きな色」「好きな場所」「好きな音楽」など、項目ごとに書き出してみる。
  • 「なぜそれが好きなのか?」を3回深掘りする
    • 例えば、「白い部屋が好き」→「なぜ?」→「落ち着くから」→「なぜ?」→「シンプルな空間が心地よいと感じるから」→「なぜ?」→「物が少ないことで思考もクリアになるから」
  • 「言葉にしにくいもの」も、できるだけ説明してみる
    • 例えば、「この空間が好きだけど、なぜかは言葉にしにくい…」というときも、感覚的な表現を使ってみる。(例:「心が軽くなる」「時間がゆっくり流れる感じ」)

言葉にすることで、自分の感性がより明確になり、好きなものを選びやすくなる。

「自分の考えを言葉にするのが苦手…」というときの対処法

すべてを自分の言葉で表現しようとすると、難しく感じることがあります。
そんなときに役立つのが 「引用を活用すること」 です。

私自身、よく本からの引用を使いますが、これには 2つの理由 があります。

  • 自分の感覚をうまく言葉にできないとき、それを代弁してくれる言葉があると心が整理される
  • その言葉を生み出した人たちへのリスペクトを込めることができる

例えば、以下のような言葉に触れたとき、自分の考えを整理するきっかけになります。

「世の人の 見付けぬ花や 軒の栗」(松尾芭蕉)
これは、「誰も気づかない美しさを見つけることの価値」を詠んだ句。
流行や常識に流されるのではなく、自分が「良い」と思えるものを大切にする姿勢を大切にしている。

「自分にだけおもしろいと思えるものを愛好する勇気があった」(『茶の本』より)
→ 他人の評価ではなく、自分の感覚を信じて選ぶことの大切さを再認識する。

こうした言葉をノートに書き留めたり、引用をもとに自分の考えを広げてみることで、感性が磨かれていきます。

ミニマリストが実践する「引用を活かす」習慣

  • 本や詩の一節をメモする
    • 読んで心に響いた言葉を記録し、それについて自分の考えを加えてみる。
  • 「この言葉を、自分の言葉に置き換えるとどうなるか?」を考える
    • 例えば、「自分にだけおもしろいと思えるものを愛好する勇気があった」という言葉を、自分なりの表現にしてみる。
  • 書き出した言葉を、何度も見返す
    • 日々の暮らしの中で、その言葉が自分にどのように影響を与えているかを意識する。

引用を使うことで、自分の思考がより深まり、感性を磨くことにつながる。

まとめ:言葉にすることで、本当の自分が見える

私たちは、自分の「好き」や「価値観」を理解しているつもりでも、いざ言葉にしようとすると曖昧になりがちです。しかし、言葉にすることで、自分が本当に求めているものが明確になります。ミニマリストは、言葉にする習慣を通じて、自分の価値観を整理し、本当に必要なものだけを選び取る力を養います。

  • 好きなものをノートに書き出し、「なぜ好きなのか?」を深掘りする
  • 感覚的に好きなものも、できるだけ言葉にすることで、選択基準が明確になる
  • 言葉にできないときは、引用を活用し、自分の感覚に近い表現を探す
  • 本や詩の一節を記録し、それを自分の言葉に置き換えてみることで、感性を磨く
  • 書き出した言葉を何度も見返し、自分の価値観を再確認する習慣を持つ

言葉にすることで、流行や他人の意見に流されず、「自分が本当に良いと思うもの」を選べるようになります。ミニマリズムは、物を減らすだけでなく、「自分にとっての本当の価値を見極める力」を育てることでもあるのです。

習慣③言葉にできない感覚を大切にする

「なんとなく好き」「この雰囲気が心地いい」「でも、言葉で説明しづらい…」
そんな感覚を持ったことはありませんか?

私たちは日常の中で、意識せずにさまざまなものを感じ取っています。
しかし、そのすべてを言葉にしようとすると、かえって本来の感覚が失われてしまうことがあります。

ミニマリストが大切にするのは、「言葉で整理すること」と同時に、「言葉にできないものを大切にすること」です。
ここでは、「言葉にできない感覚をどう扱えばいいのか?」 を深掘りし、その重要性と具体的な実践方法を紹介します。

言葉にしないことで感覚が研ぎ澄まされる

「これは好き」「これはなんか違う」と直感で感じることがあります。
しかし、なぜそう思うのかを無理に説明しようとすると、元々持っていた感覚がぼやけてしまうことも。

例えば、美しい景色を見たとき、「なぜ美しいと感じるのか?」と考え始めると、純粋な感動が薄れてしまうことがあります。
また、「○○だから素晴らしい」と説明できないと、不安になることもあるでしょう。

しかし、言葉にしなくても良いものは確かに存在します。

ミニマリストが大切にする「言葉にしない時間」

  • ただ感じる時間を持つ
    • 朝の静けさ、風の匂い、肌に触れる空気。何も考えずに感じる時間を意識的に作る。
  • 無理に言葉にしようとしない
    • 「言葉にできないけど、なんか好き」「理由はわからないけど心地いい」と感じたままにしておく。
  • 美しいものを説明しすぎない
    • 言葉で説明しすぎると、感覚が理屈に支配されてしまうこともある。「ただ眺める」「ただ聴く」ことも大切にする。

言葉にしないことで、本来の感覚がより研ぎ澄まされていく。

「無意識の違和感」を大切にする

「なんとなく落ち着かない」「なぜかここにいると疲れる」—— そんな違和感を感じたことはありませんか?
この「なんとなく嫌だな」と思う感覚こそ、無視してはいけない大切なサインです。

私たちは、思考よりも先に感覚で物事を判断することが多い もの。
その感覚を言葉にできないからといって無視すると、後になって「やっぱり合わなかった」と気づくことがあります。

ミニマリストが実践する「違和感の言語化しない習慣」

  • 「なんとなく落ち着かない」場所や人を無理に受け入れない
    • 合わないものを言葉で正当化しようとせず、「直感的に違う」と思ったら距離を取る。
  • 「しっくりこない」ものは持たない
    • なんとなく使いづらい家具、手に取らない服、ピンとこない雑貨—— それらは手放すことで、より心地よい空間が生まれる。
  • 「言葉にならない違和感」を無視しない
    • 例えば、ある場所に行くといつも疲れる、特定の服を着ると気分が沈む—— それがなぜかはわからなくても、無理に理由を探さずに受け入れる。

言葉にならない違和感を大切にすることで、心地よい暮らしが自然と整っていく。

言葉にできないからこそ「大切なもの」がわかる

言葉にできないものほど、私たちにとって本当に大切なものかもしれません。

例えば、大切な人との時間。
「この人といると落ち着く」「この空間が好き」—— それを細かく説明する必要はありません。

また、「どうしても手放せないもの」があるときも、無理に理由を考えなくてもいいのです。
それは、言葉にはならなくても、あなたにとって本当に必要なもの だから。

ミニマリストが大切にする「言葉にできない大切なもの」

  • 無理に理由をつけずに、大切にしたいものを大切にする
    • 「なぜか捨てられない」「なぜか好き」—— それを直感のままに受け入れる。
  • 説明できない感覚を信じる
    • 「この場所が落ち着く」「この服を着ると安心する」—— その感覚に従うことで、自分にとって最適な選択ができる。
  • 「言葉にできないもの」を持つ余白を残す
    •  → すべてを言葉で説明しようとしないことで、感性が自然と研ぎ澄まされる。

言葉にできないものを大切にすることで、本当に心地よい生き方が見えてくる。

まとめ:「言葉にできない感覚を大切にする」

私たちは、日常の中で「なんとなく好き」「なぜか心地いい」と感じることがありますが、それを無理に言葉にする必要はありません。言葉にしないことで、純粋な感覚が研ぎ澄まされ、本当に大切なものが見えてきます。ミニマリストは、「言葉にすること」と「言葉にしないこと」のバランスを取りながら、感性を育てています。

ただ感じる時間を持ち、無理に言葉にしようとしないことで、直感を磨く
「なんとなく落ち着かない」違和感を大切にし、不要なものや人とは距離を取る
説明できないけれど大切なものは、理由をつけずにそのまま受け入れる
言葉で整理することで価値観を明確にし、言葉にできないものを大切にすることで感性を豊かにする
すべてを言葉で説明しようとせず、余白を残すことで、本当に心地よい暮らしが整っていく

ミニマリズムとは、単に物を減らすことではなく、自分にとって大切なものを選び取ること。そのためには、「言葉にすること」と「言葉にできない感覚を信じること」を両立させ、心地よい暮らしを築いていくことが重要です。

まとめ

ミニマリズムは、物を減らすことではなく「本当に必要なものを見極める力」を育てる生き方です。

情報や他人の価値観と距離を取り、自分の「好き」や「心地よい」と感じるものを言葉にすることで、価値観が明確になります。
同時に、言葉にできない感覚を大切にし、直感を信じることで、より豊かな暮らしが実現できます。

ミニマリストは、「選び取る力」と「余白を持つこと」のバランスを大切にしながら、本当に満たされる生活を築いていきます。

自分だけの価値観を大切にしながら、感性を研ぎ澄ませることが、シンプルで豊かな生き方へとつながります。

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