「あぁ~、疲れたぁ!」
彼女は力尽きたようにベッドに、どでっと倒れ込んだ。
「仕事がこんなにもつらい事なんだって知らなかったよ~!」
新社会人になって早半年、仕事を覚えることは多少覚えてきたけど、やることが多すぎる。
「これで手取りもわずかなんて信じられない!」
ほんと、なんで、こんなにも薄給なのかわからない。
社会に絶対必要な介護職のはずなのに、これから先もっとやる人が増えて行かないといけない業界のはずなのに……。
「どうしてだよぉ!」と藤原竜也みたいに叫んで倒れ込みたくなる気分だわ。
「人が人を支えるから『人』って感じが生まれたんでしょ?支えようとする仕事を蔑ろにするなんて……。」
――「寝坊!!??」ガバッと飛び起きるように目が覚める。
時計を見ると、時計の針は3時を指していた。
「よかった。職場の皆や、今日訪問する方の迷惑をかけずに済んだ…。」
ほっとした半面。このどでっと倒れ込むような疲労を何とかしないといけない。
「慣れてきたら、なんとかなるのかな…。職場の人たちは慣れると意外とできるよ。」って言って励ましてくれる。疲れているときはフォローも入れてくれるし、相談も聞いてくれる。いい職場だ。
なんで介護職についたのか、聞いてみたら皆細かいキッカケは違うけど、
「家族を支えられた」ことがキッカケでなろうと決めた人が多いようだ。
そうなの。支えたいの。
でも、自分を支える土台がなければ、足場からどんどん崩れていって――
どてっ、どでっ……と、倒れ込んでしまう。
「なんかよくわからない仕事よりも、必要な仕事にお金割り振ってよ…。」
誰にお願いしてるのかわからない願いを、ぽつりとつぶやいた。